「探究」の意味とは?「探究的な学習」とは何か?

2019年現在、小中高の各段階において新たな「学習指導要領」への移行が段階的に進められています。その新学習指導要領において特に注目されるキーワードが《探究》です。

「探究」は学習指導要領の最新トレンド。トレンドというと軽く響きもありますが、ともかく、新指針が最も力点を置いている部分といえるでしょう。

とことで、この「探究」という言葉は、そもそもどういった意味なのでしょうか。そんな基本部分から、まずはおさらいしてみましょう。

そもそも「探究」の意味とは

国語辞書を引くと、「探究」は次のように定義されています。

物事の真相・価値・在り方などを深く考えて、すじ道をたどって明らかにすること。
―― 三省堂大辞林

思考によって論証したり問題解決を図ったりすること、あるいは、論証や問題解決のために深く思考すること。そのような営みが「探究」であるといえます。

なお同音語に「探求」という表記の言葉もあります。この「探求」は「物事を手に入れるべく探し求める」という意味合いです。探す対象がどんな代物なのかが事前に判明しているニュアンスを含みます。

「探究」は英語の inquiry に対応する語

「探究」は、英語では主に inquiry と訳されます。もちろん文脈によってさまざまな語に訳されますが、学習指導要領の脈絡では inquiry が定訳です。

inquiry は、動詞 inquire の名詞形であり、ラテン語に由来する(少々格式ばった)単語です。「探し求める」という意味合いが根本にあります。ちなみにイギリス英語では enquiry とも綴ります。

「探究」が research(調査)や investigate(捜査)、あるいは study(研究)、work(勉強)といった語ではなく、あくまでも inquiry(探究)である、という風を対比して考えてみるのも、ニュアンスの理解に近づくよい方法でしょう。

探究学習と教科学習の違い

小中高における学習活動には、教科学習の他に、探究学習や特別活動、道徳教育などがあります。それぞれの学習活動ごとに学ぶ内容や育む内容が異なります。例えば、教科学習では、各教科の固有の知識や個別のスキルを学び、各教科の本質に根ざした問題解決能力や学び方、考え方などを育みます。一方、探究学習の場合、教科にとらわれない、横断的、総合的な問題解決の能力を育みます。

探究学習で学ぶ内容は、各学校が自由に設定することができます。探究学習でよく見られるのは、社会科見学や職業体験、国際交流などです。

探究学習は、小学校と中学校では「総合的な学習の時間」と呼び、高等学校では「総合的な探究の時間」と呼びます。高等学校では、「総合的な探究の時間」の他に、「古典探究」や「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」「理数探究基礎」「理数探究」の科目があります。これら6科目は教科としての探究学習が行われます。

学習指導要領における「探究的な学習」とは

学校教育の場面において「探究」は具体的にどのようなことを指すのか?「学習指導要領」は「探究」を具体的にどのように意味づけているのか? ―― この問いに対する回答の手がかりは文部科学省の資料の中に見つかります。

文科省が2013年に刊行した「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開」という資料では、「総合的な学習の時間」の新方針における「探究的な学習」が定義づけられています。

探究的な学習とは、図のような問題解決的な活動が発展的に繰り返されていく一連の学習活動である。

探究的な学習における生徒の学習の姿
①【課題の設定】 体験活動などを通して、課題を設定し課題意識をもつ
②【情報の収集】 必要な情報を取り出したり収集したりする
③【整理・分析】 収集した情報を、整理したり分析したりして思考する
④【まとめ・表現】気付きや発z見、自分の考えなどをまとめ、判断し、表現する

出典:文部科学省「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開」(平成25年)第2章 ※PDFファイル

この「今、求められる~」は、小学校編・中学校編・高等学校編とそれぞれ刊行されていますが、「探究的な学習」の定義はいずれも同じです。「総合的な学習の時間」では、「探究的な学習」と、「協同的な学習」(他者と協同して課題を解決しようとする学習活動)と相並んで新方針の中心に位置づけられています。

「協同的」の表現は、学習指導要領の改訂で「協働的」に改められました。「協働的」と改めた理由は、異なる個性をもつ者同士で問題の解決に向かうことの意義を強調するためです。意図するところは従前と変わりありません。

探究学習の過程

探究学習の授業では、「課題の設定」、「情報の収集」、「整理・分析」、「まとめ・表現」を繰り返しながら進められます。

探究学習における課題の設定

探究学習の授業では、児童、生徒が自ら課題意識を持って、その意識を連続発展させていくことを重視します。児童、生徒が自ら課題を持つことは容易ではありません。特に低学年の児童に対しては、教師が意図的な働きかけを行うなどして学習対象との関わり方や出会わせ方などに工夫を凝らします。

課題の設定に際しては、児童、生徒が興味、関心を持つ内容で、人や社会、自然などに直接関係する課題などを取り上げます。

情報の収集

課題を設定したら、課題に関家する情報の収集を行います。探究学習では、観察や実験、調査、見学など児童、生徒が自覚的に情報を収集していくことが求められます。

ここでは、適切な方法で情報を蓄積していくことを学んだり、他の教科・科目で身に付けた知識や技能を発揮してより多くの情報、より確かな情報の収集方法を学んだりします。

整理・分析

さまざまな方法で収集した情報を、種類ごとに分類したり、細分化して因果関係を導き出したりして、整理・分析を行います。

どのような情報がどの程度収集されているのかを把握し、どのような手段で分析するのかを考えます。分析結果をさまざまな角度から比較、分類して、規則を発見したり傾向を発見したりします。

探究学習におけるまとめ・表現

情報の整理・分析が終わったら、発表するための資料を作成します。これまでの探究学習の活動を振り返り、資料を作成します。自分の発表を他者に聞いてもらうことで、自分の良い点や改善点に気付くことができ、自信を深めたり次の探究活動の意欲を高めたりすることができます。また、他者の発表を聞くことによって、自分とは違った考え方に気付くことができます。