高校の探究学習科目「総合的な探究の時間」の目標は、横断的・総合的な学習を行うことを通して、課題を発見し解決していくための資質・能力を育成することにあります。各高校では、目標を踏まえて学習計画を作成し、指導を進めていくことになります。
総合的な探究の時間では、教科書を使って授業をすることはありません。また、中間テストや学期末テストで学力測定をすることもありません。そのため教師は、どうやって生徒を評価すればよいか、授業の進め方はこれでよいのか、といった不安を抱えることもあります。
「探究学習白書」によると、多くの高校教師は、総合的な探究の時間において、「生徒への評価が難しい」「指導内容に不安が残る」といった課題や問題点を抱えていることがわかりました。
高校の探究学習ではどのような課題や問題点があるのか見ていきましょう。
探究学習における一番の課題は「生徒への評価」
下のグラフは、「総合的な探究の時間」の授業における課題や問題点について、高校教師を対象にアンケート調査を行った結果を示したものです。
課題や問題点の中でもっとも多かった回答は、「生徒への評価が難しい」の86.8%でした。「総合的な探究の時間」では学力テストを実施しないため、生徒の評価を数値で表すことは至難です。探究学習においては、「どのようにして課題を設定したか」「どのようにして情報を収集したか」「どのようにして情報を整理、分析したか」「得られた結果をどのようにしてまとめ、結論を導いたか」といったことが評価の対象になります。(参照: 高校の探究学習「総合的な探究の時間」における生徒への評価方法)
次に多かった回答は、「指導内容に不安が残る」の81.9%でした。同様に、「十分な学習計画が作成できない」(74.6%)、「学習計画通りに授業が進まない」(70.0%)、「学習指導要領の規定している目標に到達していない」(65.1%)といった課題を抱えていることがわかりました。
出典:探究学習白書
その他の課題、問題点としては、「生徒の授業に対するモチベーションが低い」(69.2%)が挙げられます。新学期当初は課題に興味を示すものの、面倒な作業や単調な作業が続くとモチベーション維持が困難になってしまうようです。
「学習場所が広範囲になり過ぎる」(77.3%)や「予算不足で十分な授業が行えない」(67.8%)も高い回答率です。これらについては、学習計画を作成する時に問題がなかったのか確認する必要があります。
「支援してくれる大学や企業が見つからない」(55.7%)という回答も半数以上ありました。支援団体は、教育委員会や自治体に相談すればすぐ見つかるでしょう。文部科学省のWebサイト「総合的な学習の時間」応援団のページから探すこともできます。
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