高校の探究学習の活動支援を行っている団体

高校の探究学習科目「総合的な探究の時間」の授業では、生徒一人ひとりの興味や関心に応じた学習活動を実現するために、教員以外の専門スタッフによる支援が求められています。学習指導要領解説では、「教員以外の専門スタッフも参画した『チームとしての学校』の実現を通じて、複雑化・多様化した課題の解決に取り組んだり、時間的・精神的な余裕を確保したりしていくことなどが重要である。」として、外部との連携の必要性に言及しています。

総合的な探究の時間の授業を実施するにあたり高校は、どのようなところから支援を受けているのでしょうか。見ていきましょう。

探究学習を進めるには、外部との連携の構築が大切

「総合的な探究の時間」の学習指導要領解説では、外部との連携について次のように規定しています。

総合的な探究の時間では,地域の素材や地域の学習環境を積極的に活用することが期待されている。とりわけ高等学校の総合的な探究の時間では,地域にある大学等の高等教育機関,各種研究機関や団体,市町村の役場や教育委員会,商工会議所や商工会,非営利団体等との連携が期待されている。

出典:「総合的な探究の時間」学習指導要領解説

具体的な連携先として、次のような団体を挙げています。

  • 保護者や同窓会の人,地域の人々
  • 専門家をはじめとした外部の人々
  • 小・中学校の地域学校協働活動推進員等のコーディネーター
  • 社会教育施設や社会教育関係団体等の関係者
  • 社会教育主事をはじめとした教育委員会,首長部局等の行政関係者
  • 企業や特定非営利活動法人等の関係者
  • 小学校や中学校等,幼稚園等の関係者
  • 大学等の高等教育機関,各種研究機関や団体

探究学習白書2020
探究学習では、「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」といった過程を経て課題の解決を図っていきます。そのうち、外部との連携は、「情報の収集」において行われることが想定されます。また、「課題の設定」での連携も考えられます。

高校の4割が探究学習の支援を受けていないと回答

下のグラフは、総合的な探究の時間の実施にあたって、支援を受けたことのある団体をグラフで表したものです(複数回答)。最も多かったのは「受けたことがない」の41.6%という結果でした。学習指導要領解説において外部との連携の必要性に言及していますが、実際には4割の高校は支援を受けていないようです。

支援を受けた団体では、企業が最も多く(26.5%)、大学、大学院(25.4%)、民間団体、NPO(25.4%)と続いています。

探究学習

出典:探究学習白書

高校は、どのようにして支援団体を選ぶのでしょうか。下のグラフは、高校が探究学習の支援団体を決めた理由をグラフに表したものです(複数回答)。

最も回答率の高かったのは、「自校の学習計画にマッチしていたから」の59.5%でした。次に、「地元の団体だから」(41.9%)、「安心して支援が受けられそうだから」(36.2%)という結果でした。探究学習を支援する団体は、さまざまな学校の学習計画に叶うカリキュラム、教材の提供が求められます。

高校が探究学習の支援団体を決めた理由

出典:探究学習白書

探究学習においてもっと充実を図ってもらいたい支援内容

下のグラフは、もっと充実を図ってもらいたい支援内容についての回答を表したものです。高校が最も求めているのは、「自校では体験できないような機会を多く与えて欲しい」(87.5%)でした。例えば、商店や福祉事業でのインターンシップ活動、SDGsに関連した屋外活動などが挙げられます。

次に回答が多かったのは「教材等を支給して欲しい」(81.3%)、「自校に出向いて支援して欲しい」(80.9%)という結果でした。

探究学習においてもっと充実を図ってもらいたい支援内容

出典:探究学習白書

 

探究学習白書2020