政令指定都市による、SDGs 17の目標への取り組み状況

2015年に国連で採択されたSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)は、格差問題やジェンダー平等、気候変動対策など、世界各国が取り組まなければならない、17の普遍的な目標で構成されています。日本政府は、持続可能な開発目標(SDGs)推進本部を設置し、地域活性化などを通して都道府県の自治体に取り組みを促しています。

自治体の中核を担う政令指定都市では、SDGsの17の目標に対してどのような取り組みを行っているのでしょうか。見ていきましょう。

SDG11に取り組んでいる自治体が多い

下の表は、政令指定都市におけるSDGsへの取り組み状況を示したものです。「〇」印のついているのが取り組んでいる内容です。取り組んでいる内容を見てみると、SDG11(都市)「住み続けられるまちづくりを」は、すべての自治体で取り組んでいることがわかります。都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にすることが目標です。

多くの自治体が取り組んでいる目標としては、SDG3(保健)やSDG4(教育)、SDG7(エネルギー)、SDG8(成⻑・雇⽤)、SDG9(イノベーション)、SDG12(生産・消費)、SDG13(気候変動)、SDG15(陸上資源)、SDG17(実施手段)などが挙げられます。

一方、SDG1(貧困)やSDG2(飢餓)、SDG5(ジェンダー)、SDG10(不平等)、SDG16(平和)への取り組み率はあまり高くないことがわかります。

自治体別で見ると、川崎市や新潟市、名古屋市、京都市、大阪市などがSDGの17の全ての目標について取り組んでいることがわかります。取り組み数の一番少なかった自治体は岡山市の7つでした。取り組み数が少ないからといって低評価はできません。また、取り組み数が多いからといって高評価することもできません。それぞれの自治体がもっている地域性や社会性などから目標を設定して取り組んでいくことが大切だからです。

出典:各自治体が提供するWebサイトより(2019年10月現在、政令指定都市20市のうち16市を取り上げました)

政令指定都市によるSDGsの取組例

札幌市

札幌市では、「健康で安全な環境で生活できる都市の実現」「積雪寒冷地に適した低炭素社会の実現」「資源を持続可能に活用する循環型社会の実現」「都市と自然が調和した自然共生社会の実現」「環境施策の横断的・総合的な取組の推進」を柱とした第2次札幌市環境基本計画を策定し、SDGsの目標達成に向けて取り組んでいます。

仙台市

仙台市は、「杜の都環境プラン」として、「低炭素都市づくり」「資源循環都市づくり」「自然共生都市づくり」「快適環境都市づくり」「良好な環境を支える仕組みづくり・人づくり」を掲げています。

さいたま市

さいたま市では、2030年のあるべき姿「誰もが住みやすい、住み続けたいと思えるさいたま市の実現」の実現のために、「交流人口の拡大と情報発信拠点の整備」「脱炭素化とスマートシティの推進」「少子高齢化・人口減少化時代における誰もが住んでいることを誇りに思えるまちづくり」などに取り組んでいます。

大阪市

大阪市は、SDGsの理念に沿って、地域団体、市⺠、NPO、企業などあらゆるステークホルダー、多様な活動主体と連携・分担を⾏い、社会・経済・環境に関わるさまざまな課題を統合的に解決していく視点をもって取り組むとしています。
具体的には「魅⼒と活⼒あふれる大阪をつくる」「若者・⼥性が活躍できる社会をつくる」「健康で安心して暮らし続けられる地域をつくる」といった目標を掲げています。

福岡市

福岡市では、環境の保全・創造に向けた取り組みを推進しています。人づくり・地域づくりでは、「環境行動を担う人材の育成」「地域環境力の向上」に取り組んでいます。また、しくみづくりでは、「環境配慮のための手続きや規制等の整備・運用」「市民・事業者の自主的な活動等に対する支援」「環境情報の継続的な収集・発信と共有」に取り組んでいます。

福岡市外との取り組みでは、九州をはじめとして国内の各地域と連携をしたり、国際環境協力の推進を図ったりしています。

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