SDGs(持続可能な開発目標)の日本の目標達成状況と課題

持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)は2018年7月、SDGsの達成度ランキングを発表しました。日本は156か国中15位で、前年の11位からランクダウンし、「ジェンダー平等を実現しよう(目標5)」や「つくる責任 つかう責任(目標12)」、「気候変動に具体的な対策を(目標13)」、「海の豊かさを守ろう(目標14)」、「パートナーシップで目標を達成しよう(目標17)」の5項目について達成度が低いということがわかりました。

これら5つの目標に対する日本の現状と課題を見ていきましょう。

目標5:ジェンダー平等を実現しよう

目標5は、「男女平等を実現し、すべての女性と女の子の能力を伸ばし可能性を広げよう」です。女性が活躍できるように差別や暴力をなくすことを目指しています。

目標5における日本の順位は、156か国中99位という結果でした。達成度は61.7点で、1位のアイスランド(91.9点)、2位のスウェーデン(90点)、3位のフィンランド(89.4点)よりも大きく点数を離されています。

日本の企業では、女性の就業者の割合は全就業者の45%で、男性の就業者数とあまり変わりありません。しかし、非正規雇用労働者に占める女性の割合は男性22.2%に対して、女性は56.9%と高くなっています。また、管理的職業従事者に占める女性の割合は13.2%と、男女間に格差のあることがわかります。

参照:年労働力調査(総務省)

目標12:つくる責任 つかう責任

目標12は、「生産者も消費者も、地球の環境と人々の健康を守れるよう、責任ある行動をとろう」です。環境に害を及ぼす恐れのある物質の管理に関する具体的な政策や協定などを通じて、持続可能な消費と生産のパターンを推進していくことを目標にしています。

目標12の日本の順位は156か国中128位です。ドイツ130位、フランス133位、カナダ137位、イギリス139位、アメリカ153位と、先進国の多くは100位以下という結果でした。

日本においては、資源生産性の向上に重点を置いた施策を行いました。2000年度から2009年度にかけて、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進により資源生産性を約53%向上することができましたが、その後はそれ以上の向上は見られず、横ばいで推移しています。また、環境利用率についても16%前後と横ばいで推移しています。

いわゆる「食品ロス」は、2012年度から2015年度にかけて640万トンで推移しており、改善が見られないというのが現状です。

参照:食品ロス削減関係参考資料(消費者庁)

目標13:気候変動に具体的な対策を

目標13は、「気候変動から地球を守るために、今すぐ行動を起こそう」です。

目標13の日本の順位は156か国中83位です。目標13の達成度上位は、イエメン(95.9点)、モルドバ(95.8点)、コートジボワール(95.6点)などの国々です。

防災白書によれば、日本の平均気温は21世紀末には4.5℃上昇すると予測しています。また、環境白書では、気温や水温の上昇によって、農作物の収量の変化や品質の低下、漁獲量の変化などが現れ、将来は、農作物の品質低下や深刻な水害や土砂災害などのリスクが高くなるおそれがあるとして、緊急の対策が必要としています。

参照:防災白書(内閣府)、環境白書(環境省)

目標14: 海の資源を守り、大切に使おう

目標14は、「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」です。海洋の保全と持続可能な利用を推進して、海洋汚染の予防や海洋資源の持続可能な利用によって、小島嶼開発途上国や後発開発途上国の経済的利益を増大させることを目標にしています。

目標14の日本の順位は、117か国中29位です(海に接していない国を除く)。目標14で高い評価だったのがエストニア(81.5点)で、2位のクロアチア(67.9点)を大きく引き離しています。

水産白書によると、日本周辺水域における資源評価の対象魚のうち、資源水準の高位にあるものが14系群(17%)あり、中位は31系群(37%)、低位は39系群(46%)という結果でした。一部の魚については資源量の増加が見られるものの、マアジ太平洋系群やスルメイカ冬季発生系群などは資源量が減少しています。

参照:水産白書(水産庁)

世界規模で見ると、漁業資源の乱獲や、マイクロプラスチックなどの海洋ごみなど、問題が山積しています。

目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

目標17は、「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」です。日本は156か国中90位でした。評価の高かった国は、アラブ首長国連邦、キューバ、トリニダードトバゴ、モンテネグロ、ハイチなどで、いずれも評価は100点満点でした。

目標17では、目標1から目標16までを達成するために実施手段を強化したり、パートナーシップを活性化したりすることを目標としています。途上国への資金援助や技術支援なども目標17に含まれます。

日本は、ODA(政府開発援助)を通じて途上国への資金援助を行っています。2000年から2014年までの先進国によるODAは66%増額しました。それでもまだ資金援助を必要としている国が多くあるというのが現状です。