GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が東証1部上場企業を対象に実施したアンケートによると、「SDGsへの取り組みをしている」と回答した企業は45%、「SDGsへの取り組みを検討中」と回答した企業は39%という結果が出ています。
企業がSDGsに取り組む場合、どの分野で貢献できるかをSDGsの17の目標から選出し、具体的な方針を決め、工程を組んでいきます。正しい取り組みをしている企業は、ESG(環境、社会、ガバナンス)の面から高い評価が得られます。
カナダの投資調査機関であるコーポレートナイツ社(Corporate Knights)は毎年、「世界で最も持続可能性のある100社」を発表しています。年間売上高が10億ドル以上の企業(7000社以上)を対象に、ESGに関する取り組みから持続可能性を評価するものです。
「世界で最も持続可能性のある100社」には、どのような企業がランクインしているのでしょうか。また、日本の企業はランクインしているのでしょうか。見ていきましょう。
「世界で最も持続可能性のある100社」の上位5社は欧州企業が独占
「世界で最も持続可能性のある100社」の1位は、デンマークのクリスチャン・ハンセンでした。2位はフランスのケリング、3位はフィンランドのネステと続きます。1位から5位までは、欧州企業で占めています。アジア勢では、9位に新韓金融フィナンシャルグループ、10位にTSMC(台湾セミコンダクター)がランクインしています。日本の企業はトップ10にランクインしませんでした。
2019年の「世界で最も持続可能性のある100社」の上位10社
| 順 位 | 企業名 | 国 名 | 業 種 |
|---|---|---|---|
| 1位 | クリスチャン・ハンセン | デンマーク | バイオ |
| 2位 | ケリング | フランス | アパレル |
| 3位 | ネステ | フィンランド | エネルギー |
| 4位 | エルステッド | デンマーク | エネルギー |
| 5位 | グラクソ・スミスクライン | イギリス | 医薬品 |
| 6位 | プロロジス | アメリカ合衆国 | 不動産 |
| 7位 | ユミコア | ベルギー | 金属 |
| 8位 | ブラジル銀行 | ブラジル | 金融 |
| 9位 | 新韓金融フィナンシャルグループ | 韓国 | 金融 |
| 10位 | TSMC | 台湾 | 半導体 |
参照:GLOBAL 100(Corporate Knights)
「世界で最も持続可能性のある100社」最も多かった業種は銀行
下のグラフは、2015年から2019年にかけて、「世界で最も持続可能性のある100社」にランクインした企業500社(各年100社、5年分)を業種ごとに分類したものです。最も多かった業種は銀行の65社、2位は医薬品の31社、3位は石油の25社という結果でした。
欧州の銀行では、ロイズTSB(イギリス)やコメルツ銀行(ドイツ)、BNPパリバ(フランス)などがランクインしました。また、アメリカ合衆国の銀行では、バンク・オブ・アメリカやコメリカ銀行、KeyBank、PNCフィナンシャル・サービシズ・グループなどがランクインしました。日本の銀行はランクインしていません。
「持続可能性のある100社」にランクインした企業の業種

参照:GLOBAL 100(Corporate Knights)
「世界で最も持続可能性のある100社」に日本は8社がランクイン
「世界で最も持続可能性のある100社」にランクインした日本企業は8社あります。エーザイが日本ではトップの73位で、武田薬品工業(78位)、横河電機(82位)積水化学工業(89位)、花王(92位)と続きます。
日本企業のランキング状況を見ると、2015年は1社だったのが、2016年は4社、2019年には8社にまで増えました。ちなみに、国別の企業数では、日本は、アメリカ合衆国(22社)、フランス(11社)に続く3位でした。
「世界で最も持続可能性のある100社」にランクインすると、国内評価はもとより、世界各国からも高く評価されます。新しいビジネスチャンスが生まれたり、資金調達がしやすくなったりと、多くの恩恵を受けることができます。日本企業の一層のランクインが望まれます。
「世界で最も持続可能性のある100社」にランクインした日本企業
| 順 位 | 企業名 | スコア |
|---|---|---|
| 2019年 | ||
| 73位 | エーザイ | 60.03% |
| 78位 | 武田薬品工業 | 58.05% |
| 82位 | 横河電機 | 56.60% |
| 89位 | 積水化学工業 | 50.69% |
| 92位 | 花王 | 45.81% |
| 95位 | トヨタ自動車 | 43.58% |
| 96位 | コニカミノルタ | 43.08% |
| 100位 | パナソニック | 38.46% |
| 2018年 | ||
| 21位 | ホンダ技研工業 | 71.90% |
| 44位 | 武田薬品工業 | 67.40% |
| 55位 | 積水化学工業 | 65.60% |
| 68位 | 日産自動車 | 63.10% |
| 2017年 | ||
| 67位 | 武田薬品工業 | 56.49% |
| 70位 | シスメックス | 55.94% |
| 85位 | アステラス製薬 | 53.96% |
| 86位 | NEC | 53.92% |
| 2016年 | ||
| 80位 | 武田薬品工業 | 58.40% |
| 88位 | シスメックス | 56.60% |
| 95位 | アステラス製薬 | 53.10% |
| 97位 | 日産自動車 | 52.10% |
| 2015年 | ||
| 50位 | エーザイ | 60.50% |
参照:GLOBAL 100(Corporate Knights)


