探究学習の授業における、高校生の活動状況

高等学校における探究学習の授業は、日常生活や学校生活の中から自ら課題を見つけ出し、解決に向けて主体的、かつ協働的に取り組みながら進められていきます。生徒への評価はテストで行うことはなく、授業への取り組む姿勢を重視します。

高校生は、「総合的な探究の時間」などの探究学習科目に対してどのような気持ちで臨んでいるのでしょうか。

探究学習の授業における高校生の主体性活動

下のグラフは、「生徒は、自分の意思で目標をもって課題の解決に向けた探究活動に取り組もうとしていると思いますか」に対する教師の回答をまとめたものです。生徒が主体的に探究活動を行っているかどうかを知ることができます。

回答結果を見ると、主体的に取り組んでいると思うと回答した教師は全体の23.2%、どちらかというとそう思うは55.2%で、8割近くが主体的に取り組んでいると回答しました。

高校生の協働性活動状況

下のグラフは、「自他のよさを生かしながら協力して問題の解決に向けた探究活動に取り組もうとしていますか」に対する教師の回答結果をまとめたものです。探究学習では、課題の解決に一人で臨むことは好ましくありません。友だちや先生、有識者などさまざまな人たちの意見を聞き、取り入れながら進めていくことが大切です。

アンケート結果では、そう思うが21.6%、どちらかというとそう思うが51.3%となりました。生徒の4人に3人は協働性をもって授業に臨んでいることがわかりました。

自己理解

「総合的な探究の時間」を通して、自分の生活や地域との関わりを見直して、自分の特徴やよさを理解しているかどうかを表したのが下のグラフです。そう思うが19.7%、どちらかというとそう思うが51.4%で、全体の7割が自己理解していると思うと回答しています。

ちなみに中学校の場合は、そう思うが26.0%、どちらかというとそう思うが58.8%という結果でした。

他者理解

他者理解は、自分とは異なる意見や他者の考えを受け入れて尊重しようとする姿のことです。アンケート結果では、そう思うが24.6%、どちらかというとそう思うが51.9%で、76.5%の生徒が他者理解を示しているという結果になりました。中学生の場合は、84.4%の生徒が他者理解を示しているという結果が出ており、年を重ねると他者への理解度が低くなっていることがわかります。

社会参画への関心や意欲

下のグラフは、「探究的な活動を通して、進んで実社会・実生活の問題の解決に取り組むとともに、積極的に地域の活動に参加しようとしていますか」に対する教師の回答結果をまとめたものです。約7割の生徒が積極的に社会参画しているという結果になりました。

他者との協働や社会参画は、探究学習にとって欠かすことのできない活動です。学習指導要領解説には、力を合わせたり交流したりして協働的に学ぶことについて、次のように説明しています。

一人でできないことも集団で実現できることは多い。生徒同士で解決できないことも地域の人や専門家などとの交流を通じて学んだことを手掛かりに学ぶこともできる。また、地域の大人などとの交流は、生徒の社会参画の意識を目覚めさせる。
例えば、自分たちの生活する地域のよさを見いだし、その地域のよさを核にして地域活性化に取り組む学習活動が考えられる。生徒は地域のよさを調査した上で案を構想し、地域の人や行政機関に提案しようとする。その際、ホームルームの友達と力を合わせたり分担したりして構想を練り、一人ではできなかったことも、仲間がいることで成し遂げられることを実感する。また、そこでは、地域の魅力を地域の人に確認しようとしたり、地域活性化の提案を分かりやすく伝えようとしたりして、真剣に活動に取り組む。こうした調査や交流の場面では、友達や専門家からの助言、地域の大人からの激励や指摘を受ける場面を設定することができる。生徒は地域活性化の提案活動を通して、力を合わせて取り組むことの大切さや地域の社会活動に参画し、地域社会に貢献する喜びなどを実感していく。
ただし、地域活性化について提案することだけが目的ではなく、地域のよさを感じ取ったことを常に意識させながら活動をすることが大切である。こうした探究活動に協働的に取り組むことを通して、生徒は協働的な学習のよさや意義を学ぶことができる。協働的に学ぶことは総合的な探究の時間だけでなく、学校教育全体で進めていくものであるが、あらかじめ一つの決まった答えのない課題の解決や探究活動だからこそ協働的な学習のよさが見えやすいという面がある。

出典:高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説「総合的な探究の時間編」(文部科学省)