2020年東京オリンピック・パラリンピックは、SDGsを推進する大会

2018年11月、国際連合と公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)は、東京2020大会を通したSDGsの推進協力に関する基本合意書に署名しました。

東京オリンピック・パラリンピックの大会中は、SDGs(持続可能な開発目標)の実現に向けて、再生エネルギーの利用や気候変動対策など、さまざまな取り組みが行われます。具体的な取り組み内容を見ていきましょう。

気候変動対策

SDGsの気候変動対策として、オリンピック大会ではCO2の排出量削減に向けた取り組みが行われます。

具体的には、既存の会場を使用することで会場整備における環境への負荷を減らします。オリンピック会場のおよそ6割は既存の施設が使われる予定で、新たに建設される会場については、省エネルギーを高水準に保ち、CO2削減を図る計画が立てられています。

競技会場やプレスセンターなどで使用する電力は、100%再生可能エネルギー電力を使用することを目標にしています。再生可能エネルギー電力とは、石油や石炭、天然ガスではなく、太陽光や風力、地熱など自然界に存在するエネルギーのことです。

大気・水・緑・生物多様性等

大気・水・緑・生物多様性等は、自然共生都市の実現に向けた取り組みです。例えば、競技会場におけるろ過施設の導入や、雨水の活用等による水資源の有効利用などを図ります。また、在来植物を使って競技会場を緑化し、生態系の維持を図ります。

暑さ対策では、効果的な空調方式の導入や、建物の屋上や壁面の緑化、遮熱性舗装の導入、既存樹木を使った緑陰の確保など、さまざまな取り組みがなされます。

参照:東京2020大会に向けた東京都「暑さ対策」推進会議(東京都環境局)

参加・協働、情報発信

持続可能性に配慮した東京2020大会を実現するために、オリンピック関係者をはじめ、多くの組織、団体、個人とのパートナーシップを築く活動を行います。オリンピック大会における持続可能性に関する取り組みを積極的に発信し、社会に知ってもらうことで、持続可能性に関する人々の理解を高めます。

参加・協働、情報発信の取り組みの1つに「東京2020参画プログラム」があります。東京2020参画プログラムとは、スポーツに限らず、文化芸術や地域での世代を越えた活動や被災地への支援などを行うイベントです。

参照:東京2020参画プログラム(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)

オリンピックのスポンサーが持続可能性への取り組みを行っているケースもあります。

資源管理

東京オリンピックでは、再生資源を活用して資源の使用量を減らすことを目標にしています。資源は、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を徹底して、廃棄物の処理で生じる熱やエネルギーを回収して持続可能な資源利用を図ります。

具体的には、食品ロスの削減や容器包装の削減、調達物品や廃棄物のリユース、リサイクル率のアップなどを図ります。

人権・労働、公正な事業慣行等

人権・労働、公正な事業慣行等では、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則した人権の保護や尊重、救済を行います。また、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の意識を共有し、広める活動を行います。ダイバーシティ(diversity)は多様性や1人ひとりの違いという意味で、インクルージョン(inclusion)は、包括・包含、受け入れる・活かすという意味です。東京オリンピック大会は、D&Iの考え方を多くの人と共有できるよい機会といえるでしょう。