日本の自治体による、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組み例

SDGs(持続可能な開発目標)とは、貧困や人種差別、大気汚染といった世界的な問題について、全ての先進国と発展途上国が取り組んでいこうとする国際目標のことです。2015年9月に開催された国連サミットで採択されました。

SDGsを達成するには、国や自治体をはじめ、企業や団体、個人が連携協働して取り組んでいくことが求められます。その中で、日本の市や区といった自治体は、SDGsに対して実際にどのような取り組みを行っているのか、見ていきましょう。

全国市区の「SDGs先進度」総合ランキング、1位は京都市

参照:全国市区の「SDGs先進度」総合ランキング(日本経済新聞)

上の表は、日本の市区における、SDGsの先進度をランキング形式で示したものです。SDGsの分野を経済、社会、環境の3つに分けて採点し、合計点(100点満点)によりランキングしています。

総合1位は京都市(70.37点)、2位は北九州市(70.13点)、3位は宇都宮市(68.82点)という結果でした。ランキング上位に入った自治体の得点を見てみると、3つの分野についてすべてが高得点というわけではなく、その地域や文化、歴史、市政などにマッチする分野について高い得点であるといってよいでしょう。

SDGs取組例1.京都市は環境分野で高い評価

1位の京都市(70.37点)は、環境の分野で2位と高く評価されています。京都市では、ひとと公共交通優先の「歩くまち・京都」の実現を目指すために、2010年に「歩くまち・京都」総合交通戦略を策定しました。

「歩くまち・京都」では、自動車利用の制限を含めた様々な抑制策等を通じて、車を重視したまちと暮らしを、「歩く」ことを中心としたまちと暮らしに転換することを基本理念に掲げています。また、目標としては、持続可能な脱「クルマ中心」社会のモデル都市の形成を目指して、世界トップレベルの使いやすい公共交通を構築し、歩く魅力に溢れるまちをつくり、また一人ひとりが歩く暮らし(ライフスタイル)を大切にすることによって「歩くまち・京都」を実現する、としています。具体的な数値目標として、「非自動車(徒歩・公共交通・自転車)分担率:80%超」を掲げています。

参照:「歩くまち・京都」総合交通戦略について(京都市情報館)

SDGs取組例2.「グリーン成長都市」を目指す北九州市

北九州市は、社会分野において1位(36.88点)、総合得点でも2位(70.13点)と高い評価を得ています。北九州市では、SDGsの達成のために、「真の豊かさ」にあふれ、世界に貢献し、信頼される「グリーン成長都市」というビジョンを掲げています。

具体的な取り組みとしては、「地域エネルギー次世代モデル事業」として、エネルギーを核としつつ、技術力や市民力を生かした課題解決事業を展開し、国内外へ普及展開を目指します。低炭素エネルギーの振興や環境産業の活性化、女性や高齢者の活躍、エネルギー・リサイクル産業の技術向上と海外展開なども目指すとしています。

北九州市は、経済や社会、環境の側面における新しい価値創出を通して持続可能な開発を実現するポテンシャルが高い都市として、国から「SDGs未来都市」に選ばれています。

参照:北九州市 SDGs未来都市(北九州市)

SDGs取組例3.東京都板橋区は社会分野と経済分野で高評価

東京都板橋区は、社会分野で6位(34.12点)、経済分野で11位(10.00点)を獲得し、総合得点では8位(68.23点)という結果でした。板橋区のSDGsへの主な取り組みは次の通りです。

  • 地球温暖化対策の計画策定
  • 食品ロスを減らすための取り組み
  • 「緑のカーテン」等、地球温暖化対策の実施
    CO2の削減のため、公共施設での緑のカーテン設置や個人・事業所への省エネ機器導入補助
  • 環境教育プログラムを整備し、ホームページ掲載や、区立小中学校・保育園等への配布
  • 区民・事業者を含めた多様な主体における様々な分野の施策・事業において、スマートシティの考え方に基づいた取り組みが推進されることを目的として、「スマートシティ推進方針」の策定
  • 貧困の連鎖を防ぐため、すべての子どもたちが夢と希望を持って成長する板橋の実現 を目指す「いたばし子ども 夢つむぐプロジェクト」の実施
  • 女性の社会参画及び経済的自立の支援のため「女性の再就職支援や育児中女性支援プログラム」等の実施
  • 誰もが生きやすく住みよい社会をめざすため、ダイバーシティに関するさまざまな取り組みの実施

参照:「SDGs(持続可能な開発目標)先進度調査」で板橋区が全国8位に(板橋区)