日本における、SDGsの目標達成度を測るための統計データ

SDGs(持続可能な開発目標)には、17の目標169のターゲットが設定されています。また、目標達成に向けて、232の進捗状況を知るための指標が設定されています。

例えば、目標1「貧困をなくそう」のターゲットには「2030年までに、現在1日 1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」が設定されています。このターゲットに対する、進捗状況を知るための指標として「国際的な貧困ラインを下回って生活している人口の割合(性別、年齢、雇用形態、地理的ロケーション(都市/地方)別)」が設定されています。

目標を達成したかどうかを知るには、進捗状況を知るための指標に関連する統計データを見て判断することになります。日本では、どのような統計データを使って目標達成度を測っているのでしょうか。

SDGsの指標に見合う統計データの探し方

SDGsには、進捗状況を知るための指標が232項目設定されています。各指標について、完全にマッチする統計データを探し出すことは容易ではありません。例えば、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」のターゲットに「2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる」があります。この進捗状況を知るための指標として、「道路交通事故による死亡率」が設定されています。

日本においては、警視庁が毎月発表している「交通事故統計」を見れば、交通事故による死亡率を知ることができます。都道府県別でのデータも掲載されていますので、自治体ごとの進捗状況も知ることができます。

また、SDGsの目標1「貧困をなくそう」のターゲットに「各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する」があります。この進捗状況を知るための指標として、「社会保障制度によって保護されている人口の割合(性別、子供、失業者、年配者、障害者、妊婦、新生児、労務災害被害者、貧困層、脆弱層別)」が設定されています。

日本においては、厚生労働省が毎月発表している「被保護者調査」から、保護されている人の属性や人口の推移などを知ることができます。

SDGsの目標達成度を知るための主な統計データ

犯罪統計

警察庁の発表している犯罪統計からは、SDGsの「目標3.すべての人に健康と福祉を」や「目標5.ジェンダー平等を実現しよう」「目標11.住み続けられるまちづくりを」「目標16.平和と公正をすべての人に」などの目標達成度を知ることができます。

ターゲット 進捗状況を知るための指標
3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。 自殺率
3.6 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。 道路交通事故による死亡率
5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、全ての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。 これまでにパートナーを得た15歳以上の女性や少女のうち、過去12か月以内に、現在、または以前の親密なパートナーから身体的、性的、精神的暴力を受けた者の割合(暴力の形態、年齢別
11.7 2030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。 過去12か月における身体的又は性的ハラスメントの犠牲者の割合(性別、年齢、障害状況、発生場所別)
16.1 あらゆる場所において、全ての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。 ・10万人当たりの意図的な殺人行為による犠牲者の数(性別、年齢別)
・過去12か月において(a) 身体的暴力、(b) 精神的暴力、(c)性的暴力を受けた人口の割合
・自身の居住区地域を一人で歩いても安全と感じる人口の割合
16.2 子供に対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。 10万人当たりの人身取引の犠牲者の数(性別、年齢、搾取形態別)
16.3 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、全ての人々に司法への平等なアクセスを提供する。 過去12か月間に暴力を受け、所管官庁又はその他の公的に承認された紛争解決機構に対して、被害を届け出た者の割合
16.4 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。 国際的な要件に従い、所管当局によって、発見/押収された武器で、その違法な起源又は流れが追跡/立証されているものの割合
16.5 あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。 ・過去12か月間に公務員に賄賂を支払った又は公務員より賄賂を要求されたことが少なくとも1回はあった人の割合
・過去12か月間に公務員に賄賂を支払った又は公務員より賄賂を要求されたことが少なくとも1回はあった企業の割合

国勢調査

国勢調査は、日本に居住する全ての人・世帯を対象にした統計調査です。国勢調査のデータは、国や地方自治体をはじめ、企業や研究機関にいたるまで広く利用されています。SDGsの「目標5.ジェンダー平等を実現しよう」や「目標8.働きがいも経済成長も」「目標11.住み続けられるまちづくりを」「目標16.平和と公正をすべての人に」などの達成度を知る手掛かりになります。

ターゲット 進捗状況を知るための指標
5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。 15歳未満、18歳未満で結婚又はパートナーを得た20~24歳の女性の割合
5.4 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、並びに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。 無償の家事・ケア労働に費やす時間の割合(性別、年齢、場所別)
5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。 管理職に占める女性の割合
8.7 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。 児童労働者(5~17歳)の割合と数(性別、年齢別)
11.2 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。 公共交通機関へ容易にアクセスできる人口の割合(性別、年齢、障害者別)
11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。 人口増加率と土地利用率の比率
16.9 2030年までに、全ての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。 行政機関に出生登録された5歳以下の子供の数(年齢別)

市町村別決算状況調

市町村別決算状況調は、市町村別の歳出の状況と歳入の状況を提供する統計データです。SDGsの「目標1.貧困をなくそう」「目標6.安全な水とトイレを世界中に」「目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「目標11.住み続けられるまちづくりを」などの目標達成度を知ることができます。

ターゲット 進捗状況を知るための指標
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。 グローバルGDPに関する災害による直接的経済損失
1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。 ・総政府支出額に占める、必要不可欠なサービス(教育、健康、及び社会的な保護)への政府支出総額の割合
全体の国家財政支出に占める必要不可欠なサービスの割合(教育、健康、及び社会的な保護)
6.a 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術を含む開発途上国における水と衛生分野での活動と計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。 政府調整支出計画の一部である上下水道関連のODAの総量
9.a アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。 インフラへの公的国際支援の総額(ODAその他公的フロー)
11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。 災害によって起こった、グローバルなGDPに関連した直接経済損失、重要インフラへの被害及び基本サービスの途絶件数

地方防災行政の現況

地方防災行政の現況は、都道府県や市町村における防災会議、防災計画、防災訓練、情報連絡体制、防災組織及び震災対策など、防災体制に関する事項について調査したものです。SDGsの「目標1.貧困をなくそう」「目標11.住み続けられるまちづくりを」「目標13.気候変動に具体的な対策を」などの達成度を知る手掛かりになります。

ターゲット 進捗状況を知るための指標
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。 ・仙台防災枠組み2015-2030に沿った国家レベルの防災戦略を採択し実行している国の数
・国家防災戦略に沿った地方レベルの防災戦略を採択し実行している地方政府の割合
11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。 ・仙台防災枠組み2015-2030に沿った国家レベルの防災戦略を採択し実行している国の数
・国家防災戦略に沿った地方レベルの防災戦略を採択し実行している地方政府の割合
11.c 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。 現地の資材を用いた、持続可能で強靱(レジリエント)で資源効率的である建造物の建設及び改築に割り当てられた後発開発途上国への財政援助の割合
13.1 全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。 ・仙台防災枠組み2015-2030に沿った国家レベルの防災戦略を採択し実行している国の数
・ 国家防災戦略に沿った地方レベルの防災戦略を採択し実行している地方政府の割合

人口動態調査

人口動態調査は、女性が一生の間に生む子どもの数に相当する合計特殊出生率や死因別死亡数、年齢別婚姻・離婚件数などの結果を、都道府県別などで示した統計データです。SDGsの「目標1.貧困をなくそう」や「目標3.すべての人に健康と福祉を」「目標11.住み続けられるまちづくりを」「目標13.気候変動に具体的な対策を」などの目標達成度を知ることができます。

ターゲット 進捗状況を知るための指標
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。 10万人当たりの災害による死者数、行方不明者数、直接的負傷者数
3.2 全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、 2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。 ・5歳未満児死亡率
・新生児死亡率
3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。 ・1,000人当たりのマラリア感染者数
・10万人当たりのB型肝炎感染者数
11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。 10万人当たりの災害による死者数、行方不明者数、直接的負傷者数
13.1 全ての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応の能力を強化する。 10万人当たりの災害による死者数、行方不明者数、直接的負傷者数