SDGs(持続可能な開発目標)の17の目標はどこまで達成されたのか

2015年に開催された、国連の「持続可能な開発サミット」において「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。アジェンダには、2030年に向けての人類がとるべき行動計画として17の目標が掲げられました。これらの目標を「持続可能な開発目標」(SDGs)といい、いま、まさにその計画が実行されているのです。

持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)では、世界各国のSDGsの進捗状況を毎年発表しています。2019年の時点でどの程度まで目標が達成されたのか見てみましょう。

SDGs 17の目標達成率を大陸別で見ると、ヨーロッパ、北米の達成度が高い

下のグラフは、SDGs 17の目標達成度を大陸ごとに分けて示したものです。上から、アフリカ、アジア、ヨーロッパ’(黄色)、中南米、北米(赤色)、オセアニア、全平均の順に並んでいます。グラフ全体を見ると、ヨーロッパや北米の達成度の高いことがわかります。

SDGs 17の平均達成度は、ヨーロッパが76.8%で最も高く、北米の76.2%が続きます。アフリカは55.1%で最も低く、アジアは66.5%、中南米は65.7%、オセアニアは66.9%という結果でした。

一方、SDGs 17の Goal 12とGoal 13の達成度は、欧米よりもアフリカの方の高いことがわかりました。Goal 12は、「つくる責任、つかう責任」です。限られた資源を有効的に活用すること、食品ロスをなくすことなどがターゲットとして設定されています。Goal 13は、「気候変動に具体的な対策を」です。地球温暖化をストップさせるために、二酸化炭素の排出量をいかに減らすかなどがターゲットとして設定されています。欧米では、Goal 12とGoal 13への施策があまり進んでいないことがわかります。

SDGs 17の目標達成率・大陸別比較

参照:SDG INDEX & DASHBOARDS(SDSN)

G20以外の国々はSDGsの目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成度が低い

下のグラフは、SDGs 17の目標達成率を、G20各国とそれ以外の国々とで比較して表したものです。G20とは、G7(主要国首脳会議)の日本、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダと、EU、ロシア、新興国11か国からなるグループのことです。新興国は、中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ、オーストラリア、韓国、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチンです。

SDGs 17の目標達成率は、G20以外の国々よりもG20各国のほうが高いことがわかります。中でも、Goal 9の「産業と技術革新の基盤をつくろう」については、G20各国の達成率が60.7%であるのに対して、G20以外の国々は35.1%にとどまっており、その差が顕著に現れています。

「産業と技術革新の基盤」は、インフラを指しています。G20各国は、電気や上下水道、ガスといった生活基盤から道路や鉄道、電話、通信に至るまで、さまざまなインフラが整備されていますが、G20以外の国々はあまり整備されていないことがわかります。

SDGs 17の目標達成率・G20各国とそれ以外の国々との比較

参照:SDG INDEX & DASHBOARDS(SDSN)

SDGs 17の目標達成度・所得層別では、所得の高い国ほど達成度が高い

下のグラフは、SDGs 17の目標達成度を所得層に分けて示したものです。LIC(Low Income Country)は国民1人あたりのGNIが826ドル以下の低所得国を指します。LMIC(Lower Middle Income country)はGNIが826ドルから3255ドル以下の低中所得国、UMIC(Upper Middle Income Country)はGNIが3256ドル以上10065ドル以下の高中所得国、HIC(High Income Country)はGNIが10066ドル以上の高所得国を指します。ちなみに日本はHICに分類されます。

グラフを見ると、所得の高い国ほど、SDGs 17の目標達成度の高いことがわかります。一方、Goal 12「つくる責任、つかう責任」Goal 13「気候変動に具体的な対策を」については低所得国の達成度のほうが高くなっています。

Goal 9の「産業と技術革新の基盤をつくろう」については、低所得国の達成度が20.9%と低い結果となっています。

SDGs 17の目標達成率・所得層別比較

参照:SDG INDEX & DASHBOARDS(SDSN)

OECD加盟国のSDGs 17達成度は非加盟国よりも高い

OECD加盟国のSDGs 17の達成度と、非加盟国の達成度を比較したのが下のグラフです。OECD加盟国は、日本やアメリカ合衆国、イギリスなど37か国によって構成される国際機関です。

OECD加盟国のSDGs 17の目標達成率は、非加盟国よりも高い傾向にあります。全体平均でも、加盟国の達成率が77.7%であるのに対して非加盟国は62.5%にとどまっています。なお、Goal 12「つくる責任、つかう責任」の達成度は非加盟国の方が高いことがわかります。

世界を先進国と開発途上の国の2つに分けると、先進国は食品ロス問題や地球温暖化問題を抱えており、開発途上国はインフラ整備の問題を抱えていることがわかります。

SDGs 17の目標達成率・OECD加盟国とそれ以外の国々との比較

参照:SDG INDEX & DASHBOARDS(SDSN)

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