SDGs(持続可能な開発目標)に関する研究活動をしている企業は21%

文部科学省では、民間企業の研究活動に関する調査を毎年実施しています。調査は、研究開発を行う民間企業を対象として、研究開発の具体的な手法や研究開発者の状況などを中心に行っています。2019年度は、SDGs(持続可能な開発目標)への対応のための研究開発に関する調査も実施されました。

民間企業の21.1%がSDGsへの対応のための研究開発を行っている

下のグラフは、企業の特定分野・目的の研究開発のうち、どのような研究開発を行っているかを割合で示したものです。(複数回答)

製造業では、人工知能が23.8%で最も高く、SDGs、環境問題が続いています。非製造業でも1位は人工知能で、半数以上の企業が人工知能の研究開発を行っていることがわかります。

SDGsへの研究開発を実施している企業は2割程度に留まっています。なお、ここでの数値は、内容的にSDGsに関連している技術の研究開発ではなく、SDGsへの対応自体を明示的な目的とした研究開発の割合を示しています。そのため、SDGsに関連した研究開発を行っている企業の割合は、これよりも多くなります。

参照:民間企業の研究活動に関する調査(文部科学省)

SDGsへの研究開発を行っている業種は通信業

下のグラフは、企業のSDGsへの研究開発を行っている割合について、業種ごとに分類したものです。割合の最も高かった業種は専門サービス業(61.5%)でした。続いて、通信業(40.0%)、印刷・同関連業(37.5%)でした。ちなみに専門サービス業とは、法務関連事務や会計監査、相談サービス、ビルメンテナンス・セキュリティなどの専門的なサービスを提供する事業の総称です。

農林水産業や鉱業・採石業・砂利採取業では0.0%となっていますが、先述の通り、実際にはSDGsへの研究開発を行っている企業は存在します。例えば、農薬や肥料、家庭用殺虫剤などを販売している住友化学株式会社では、アフリカにおいて蚊帳の現地生産を行い雇用を創出するとともに、女性の就業環境整備や校舎建設等の教育支援を行っています。この事業は、SDGs達成に向けた取り組みとして、「ジャパンSDGsアワード」においてSDGs推進副本部長(外務大臣)賞を受賞しています。(参照:住友化学グループのSDGsへの貢献

参照:民間企業の研究活動に関する調査(文部科学省)

大企業ほどSDGsへの研究開発を行っている

下のグラフは、企業の資本金別での研究開発を行っている割合を示したものです。SDGsについては、資本金が1億円~10億円の企業は10.4%、10億円~100億円の企業は21.6%、100億円以上の企業は48.6%という結果でした。資本金が大きい企業ほどSDGsへの研究開発を行っており、100億円以上の企業の半数がSDGsへの研究開発を行っていることがわかります。ちなみに、資本金100億円以上の企業は、株式上場企業ではおよそ820社あります。

参照:民間企業の研究活動に関する調査(文部科学省)